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糖尿病: 生活習慣病(メタボリック症候群)[メタボリック症候群]

糖尿病とは

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足や作用不全のためにおこる代謝異常による疾患です。
近年では、欧風の生活様式によるカロリーや脂肪の過剰摂取、車の普及等による運動不足、夜型の生活などにより糖尿病の患者数は徐々に増えており、現在は約740万人いると言われています。(糖尿病予備軍は1620万人いると言われています。)
糖尿病は2つに分類され、1型糖尿病(IDDM;インスリン依存型糖尿病)と2型糖尿病(NIDDM;インスリン非依存型糖尿病)に大別されます。このほか、妊娠中に出現する妊娠糖尿病や、内分泌疾患などさまざまな疾病に二次的に出現してくる糖尿病も知られています。

糖尿病の原因

  1. 1型
    糖尿病は若年者に多く、膵臓のインスリン分泌能力が激減するため、インスリンの注射が必要となります。 現段階では原因は不明でありますが、自己免疫により膵臓のβ細胞が破壊される機序が想定されています。 糖尿病患者さんの、約1割を占めます。
  2. 2型
    糖尿病は、40歳以上の人に多く発症するものであり、糖尿病患者さんの約9割を占めます。
    インスリン分泌の低下も考えられていますが、インスリンの効きが悪い状態(インスリン抵抗性)が主因であると考えられています。
    主に食事療法と内服薬による治療が中心となります。
1型、2型いずれの糖尿病も遺伝的な基盤に環境因子が加わって発症するとされていますが、詳細は不明です。
2型糖尿病の3大誘因としては、過食(肥満)・運動不足・加齢があげられ、典型的な生活習慣病であるといえます。
糖尿病の原因

糖尿病の症状

人によって大きく症状は異なりますが、糖尿病のほとんどの方は無症状です。自覚症状として最も多いのは口渇であり、それに伴って多くの水分を摂取するため多飲、多尿をもたらすことも多くあります。また、脱水症状として体がだるく(全身倦怠感)、疲れやすくなります。
病気が進行してくると体内の脂肪の分解が進み、体重が激減することもあります。また、放置しておくと、しばしば意識の低下や喪失(糖尿病性昏睡)をきたすこともあります。
症状が出現したときには、合併症がかなり進行している場合があります。早期に糖尿病を見つけ管理をすることができれば、合併症の進行を遅らせ健康に生活することができます。
三大合併症としては糖尿病性神経症・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症があり、特に細い血管での障害が顕著であります(細小血管障害)。しかし、近年では動脈硬化性の疾患による心臓血管合併症や脳卒中といった大血管症も懸念されています。
  • 三大合併症
    神経症...糖尿病の初期の段階から見られ、痛みや寒暖を感じる知覚神経が侵されることが多くあります。代謝異常の影響と神経系に分布する血管の動脈硬化によって神経細胞や神経組織が変化して起こります。目の運動神経の麻痺によりうまく見えなくなったり、内臓神経が影響を受けてうまく排尿ができなくなることもあります。このほか下痢や便秘、勃起不全、起立性低血圧をもたらすこともあります。
    網膜症...血管障害が眼底の網膜に起きたものをいい、症状が進行すると失明に至ることもあります。眼底検査は初めのうちは一年に一度、異常があれば3ヶ月に一度の割合で受診することをお勧めします。
    腎症...血管障害が腎臓の糸球体を中心に起こったものをいい、糖尿病を長年治療せずに経過すると、腎臓の血管が侵されて尿にタンパクが出るようになります。発病とともに治療を継続すれば糖尿病性腎症は予防できるとされています。
  • 大血管症
    心臓血管合併症・脳卒中
  • その他の合併症
    皮膚症・壊疽・白内障・緑内障・骨障害・易感染性(白癬・尿路感染等)

糖尿病の検査・診断

  • 早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上または随時血糖値が200mg/dL以上あると糖尿病の疑診がなされ、再度測定して確認されれば確診となります。
  • 75gのブドウ糖溶液を経口負荷して、負荷後2時間値を随時血糖値の代わりに用いることもあります。
  • HbA1c(約1~2ヶ月前の血糖状況)
  • グリコアルブミン(約2週間前の血糖状況)
  • 1,5-AG(直近の血糖状況)
網膜症の予防に眼底検査、腎症の予防に微量アルブミン尿の測定、大血管症の予防に心電図検査、壊疽の予防にフットケアを定期的に行いましょう。

糖尿病の治療

  • 生活指導
    • 食事療法:
      必ずしも体重の減少を目的にしたものではなく、その人の標準体重から計算されたカロリーを摂取することを目的としています。栄養素のバランスと総摂取エネルギーの適正化によりインスリンへの感受性の改善を図ります。
    • 運動療法:
      同じくインスリン感受性の改善の改善を目指すもので、摂取エネルギーの消費が目的ではありません。消費エネルギーとしては160~240kcal程度が適当とされています。
運動は有酸素運動とレジスタンス運動に分類されます。
  1. 有酸素運動:酸素の供給にみあった強度の運動であり、継続して行うことによりインスリン感受性が増大する。(歩行・ジョギング・水泳などの全身運動)
  2. レジスタンス運動:おもりや抵抗負荷に対して動作を行う運動であり、無酸素運動に分類される。筋肉量を増やし、筋力を増強する効果が期待できる。

薬物療法

患者さんの病態、合併症、薬剤の作用特性などを考慮して薬剤を選択します。

スルホニル尿素薬(SU薬) 【アマリール・オイグルコン・ダオニール等】

膵β細胞膜上のSU受容体に結合しインスリン分泌を促進し、服用後短時間で血糖降下作用を発揮する。インスリン分泌能が比較的保たれているが、食事療法・運動療法によっても十分良好な血糖コントロールが得られないインスリン非依存状態の患者さんに用います。

速攻型インスリン分泌促進薬 【グルファスト・ファスティック等】

SU薬に比べ吸収と血中からの消失が速い。食後高血糖の患者さんの是正によい適応である。

α-グルコシダーゼ阻害薬 【ベイスン・グルコバイ・セイブル】

糖の吸収を遅らせることにより、食後の高血糖を抑制する。 空腹時血糖はさほど高くなく、食後に高血糖になるようなインスリン非依存状態を示す患者さんに適応です。

ビグアナイド薬 【メルビン・メデット等】

肝臓での糖新生の抑制が主であり、消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン感受性の改善などさまざまな作用により血糖降下作用を発揮します。

チアゾリジン薬 【アクトス】

インスリン抵抗性の改善を介して血糖降下作用を発揮する薬です。低血糖の危険性が少ない薬剤であり、さらには心血管イベントの発症抑制やインスリン治療の導入を遅らせることが出来る薬剤であります。
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